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2008.12.16

平成20年度JTEC第2回講演会報告


1 開催趣旨
JTECはICT分野の国際協力の重要性と必要性について多くの方々に理解を深めていただく為に年2回の講演会を開催しております。平成19年度第2回講演会のテーマは、「国際協力における産・官・学のパートナーシップを考えるー国際協力の実践的経験者を囲んでー」であり、平成20年度第1回講演会のテーマは、「持続的発展をもたらすICTの構築と普及」でありました。この2回の講演会で提起された共通の課題がICT国際協力分野の人材育成でした。
即ち、21世紀のグローバル時代に求められるICT人材の育成と国際協力を担う人材の空洞化対策を産・官・学が連携して国を挙げて推進すべきというものでした。そこで今回はこの人材育成の問題を皆様と御一緒に考えル機会としました。
コーディネーター、 講師の皆様はこの分野の第1人者に御願いすることが出来ました。
桑原 守二 様は現在、特定非営利活動法人BHNテレコム支援協議会の理事長ですが、 旧電電公社において主にマイクロ回線や移動通信の基盤ネットワーク構築に貢献されたことで著名で有ります。
桑原様は所用にて途中退席されましたが、その後は、同じBHN協議会の佐藤政紀副理事長にコーデネーターを引き継いで頂きました。
問題提起を御願いした 富永 英義 早稲田大学教授は ICT研究の第一人者です。
阿南様は情報通信事業者として、海外におけるネットワーク構築と利用展開に長年の経験を御持ちであり、前回の講演会でも問題提起とコーデネータを務めていただきました。
大森 慎吾 様は独立行政法人情報通信研究機構(NICT)の理事ですが、今年10月に、デンマークのオールボー大学が横須賀に開設したCTIF日本研究所長に就任されて居ります。
竹内 久雄様はベンチャーである インフォメーションタスクフォース株式会社代表取締役の立場から御話頂きました。
古川様は民間サイドからユニークな方法で国際協力を実践されております。特に、バングラデッシュにおけるWiMAXを中心とした ICT事業の展開は,途上国の持続的発展の国際モデルとして注目されています。前回の講演が大変好評でありましたので、再度の登場です。今回は アライアンス・フォーラム財団 マネージング・ディレクターとして御講演頂きました。

2 講演会内容
(1) 日程 平成 20年12月12日(金) 14時~17時20分
(2) 会場 五反田ユーポート 7階「末広の間」( 品川区西五反田8- 4-13)
(3) テーマ 21世紀のグローバル時代のICT国際協力人材の育成
~ 21世紀に求められるICT人材の育成と人材の空洞化にいかに対応すべきか~

3 講演会次第
(1)JTEC理事長挨拶内海善雄

(2) 問題提起 ICT人材育成は我が国の持続的発展の生命線 ( pdf ) 
早稲田大学教授  (大学院国際情報通信研究科/理工学術院基幹理工学部兼担 )
富永 英義

(3)講演
ⅰ講演 1  ICT國際競争力首位のデンマークに学ぶ人材育成
―CTIF-Japan(Center for TeleInFrastrukuture)について)( pdf )
独立行政法人情報通信研究機構(NICT)理事大森 慎吾

ⅱ講演 2  ICT国際分野における我が国の人材の競争力 ( pdf
NTTコミュニケーションズ株式会社 グローバル事業本部ヴァイスプレジデント 阿南 修平

ⅲ講演  3  21世紀のグローバル社会に求められるICTスキル( pdf
インフォメーションタスクフォース株式会社代表取締役 竹内 久雄


ⅳ 講演  4 次世代の人材育成: ICT国際協力の現場から実践報告 ( pdf
アライアンス・フォーラム財団 マネージング・ディレクタ ー  古川 拓


(4)質疑応答・意見交換 コーディネーター  特定非営利活動法人BHNテレコム支援協議会副理事長

佐藤 政紀
4 総括
(1)年末の繁忙時にも拘らず部屋の収容能力一杯の70人以上の方に出席を頂きました。我が国のICT国際競争力の低下は次世代を担う若者の理工系離れ、ICT離れにも影響を与えているといわれます。今回の講演会が現状打破の一助となれば幸いです。
最初の内海理事長の挨拶で、客員教授をしている早稲田大学の講義出席者の半数近くが外国人留学生になっているという話と共通の背景があるようです。
(2)富永教授からは今後の大学におけるICT人材育成は、国内・国際及び産・官・学・自治体の連携の如何に懸かっている。それにより若者のICT離れを何としても食い止めなければ、将来は見えてこないという指摘があった。
(3)大森理事からは、 ICT国際競争力トップのデンマークが、産・官・学・地方自治体一体となってグローバルに推進する、大学を中心とした人材育成システムは、「小国」だから出来るという批判を超える実績を誇っており、見習うべき事が多いと の紹介があった。
(4)阿南様は、 日本の人材も他の国に比べて劣後である事は決してないが、企業も大学も、若者がグローバルな世界で活躍できる環境を提供できていないため人材が育成されない。環境整備が必須との指摘があった。
(5)次世代の若者は国際協力・国際共生に大いなる興味・関心を有しているので、この受け皿をスキームとして準備・構築する必要がある。
(6)古川様の「デフタ」のように、国際協力をビジネスとして実施している民間企業も出てきているので、そのような活動に次世代人材を組み入れてOJTすることは非常に効果的である。
(7)これから必要とされるICT人材はプログラマーからプロジェクト・マネジャー、そして最終的にはプロデューサーの資質が必要とされてくるという竹内様の内容は示唆に富むものでありました。
(8)「国際協力は我が国の持続的発展の生命線である」という認識の下、 JTECとしては今後ともこのような講演会の開催を継続して参りたいと思いますので、皆様方におかれましては講演のテーマや講師などにつき何なりと御意見など御寄せ頂ければ幸甚です。講師の方々、御運び頂いた皆様、御協力頂きました皆様に厚く御礼申し上げます。
有難うございました。